(1)REITの資金調達に公募増資が必要
REIT銘柄と種類について見ていきましたが、公募増資の評価をどのように行うのか東洋経済2013年1月12日号を見てみましょう。物件を新規に取得し、資産規模を拡大していくのがREITの事業である。そのために必要なのが公募増資という資金調達方法だ。公募増資ができるかどうかはREITにとって事業の根幹をなす。REITの資金調達で、公募増資の重要性について指摘されていますが、REITが経済合理性に基づいて、運用による利益を最大化しようとしてる場合を考えて見ましょう。REITは上場企業と同じように証券市場に上場しており、証券を売買することが可能となっていますね。
REITの資金調達2014年 債券増加をまとめましたが、REITは公募増資よりも今年は債券の発行を重視していますね。REITと上場企業の財務戦略を考えると、共通している点と異なる点がありますので理解することが重要であると言えます。
(2)借入によるレバレッジと不動産担保
- REITの資本
- 収益性向上のために借入
- 不動産の取得
REITが不動産投資信託であり、不動産担保は借入を行いやすいことを考えると、公募増資は収益機会の拡大に繋がる可能性があることが分かると思います。REITは公募増資の目的が明確であるため、調達した資金を新しい不動産物件の調達するなど非常に分かりやすいと言えますね。
(3)株式投資では公募増資では歓迎されない
株式の場合、公募増資は1株当たり利益の希薄化につながるため、投資家には歓迎されないことが多い。株式投資を行っている方はご存知の方が多いと思いますが、株数が増加することで一株当たりの利益が減少します。
- REIT社の利益 100
- 一株当たり利益=利益÷発行済み株式数
- REIT社の発行済み株式数 50 一株当たり利益2
- REIT社が50増資
- REIT社の発行済み株式数 100 一株当たり利益1
(4)REITは公募増資を前向きに評価
しかし、REITは「株式と違って、公募増資が前向きに評価される」(大和証券企業調査部・住谷智宏主任アナリスト)。REITは株式と違って公募増資が評価されると、証券会社のアナリストが指摘していますが、その理由について見てみましょう。
(5)REITの増資目的と不動産物件取得が重要
REITは増資と同時に物件の新規取得を発表することが多い。その物件の収益を新たに寄与させることができれば、利益の希薄化をうまく避けることができる。REITと株式の公募増資の違いについて、新規物件取得を行うと同時に、公募増資を行えば利益の希薄化を避けることができることを指摘しています。
- 株式の公募増資 決算発表まで利益が不明であり、資金使途が不透明
- REITの公募増資 同時に不動産物件を取得すれば年間の収益が上昇する
- REITの一株利益が希薄化しにくい=収益(新規不動産取得で増加)÷発行済み株式数(増資で増加)
(6)REITはIPOによる値上がり益が期待しにくい
公募増資には新規上場(IPO)のREITが実施するものもある。ただ、IPO後に株式のような大きな値上がり益は期待しにくい。REITはIPOによる値上がり益が期待しにくい理由について考えてみると、REITの価値は取得している不動産の価値であり、企業のように急成長が考えにくいからでしょうね。REIT予想利回りと財務に続く。 スポンサードリンク