(1)REITの株式発行の環境と日銀
REITの公募増資で、調達した資金と同時に不動産物件購入により、利回りの低下を防げる点について見ましたが、IPOの場合も調達した資金の使い道が重要になります。IPOが相次ぐと市場から多額の資金を吸収することで、REITの値下がりが想定されますが、日本銀行による直接の資金供給と金融緩和により、環境はよいと言えます。REITはアベノミクスの恩恵によって、不動産物件の価格値上がりや賃料収入が増加しており、景気回復の恩恵が大きいですね。
(2)ケネディックス・レジデンシャルが新規上場
不動産失敗とニーズについて見ていきましたが、REITのIPOについて東洋経済2013年1月12日号を見てみましょう。12年はケネディクス・レジデンシャルがJ-REITでは4年半ぶりの新規上場(IPO)を果たすなど、久々にIPOが盛り上がった。不動産銘柄の上場企業として、ケネディックスが不動産の流動化などで有名ですが、J-REITの新規上場を行ったようですね。REITは不動産投資信託であり、新規上場すれば上場企業と同じように、証券取引所で自由に売買することができます。
J-REITでは4年半ぶりの新規上場(IPO)となっていますが、リート日銀買い入れを発表しており、IPOで市場から資金を吸収しても、日本銀行が資金供給を行うので環境はよいと言えます。REITの財務戦略は、銀行融資などのお金を借りることが重要になりますので、日銀の資金供給による金利低下は収益増加に影響しますね。
(3)外資系REITの新規上場
年末には、シンガポール政府系のグローバル・ロジスティクス・プロパティーズ(GLP)が上場。グローバル・ロジスティクス・プロパティーズが、上場したREITに対して物件の譲渡を行っているので、GLPの企業概要について見てみましょう。
- 2012年12月21日上場 資産規模で日本最大の物流施設特化型REITとなるGLP J-REITが本日、東京証券取引所に上場
- 2013年1月17日 日本の3施設をGLP J-REITに売却
- 2013年1月21日 日本で約74億円(約8,200万米ドル)を投資しソーラーパネルを本格導入
- 2013年1月28日 日本で大手3PL企業と2万9,000㎡の賃貸借契約を締結
- 2013年1月31日 先進大型マルチテナント型物流施設の開発に着手
- 2013年2月4日 グローバル・ロジスティック・プロパティーズとCPPIB「ジャパン・デベロップメント・ベンチャー」の増資に合意 運用資産規模、2,200億円(22億米ドル)に拡大
- 2013年3月1日 岡山県下最大級のマルチテナント型大型物流施設 「GLP総社」が竣工
(4)商業施設型の新規上場
13年の前半には米国物流のプロロジスやイオンのREITが上場する予定だ。イオンREITの上場は今後増えそうな商業施設型の試金石になると見られている。プロロジスは、世界有数の不動産投資会社であり、日本でも多くの物件を保有しています。日本プロロジス投資法人の財務状態を見ると、飛躍的に改善していることが分かりますね。
(5)プロロジス投資法人の財務戦略
- 全融資案件の借入日 平成25年2月15日 無担保無保証 シンジゲートローンは、三井住友銀行と三菱UFJ銀行がアレンジャー
- シンジゲートローン平成26年2月15日 短期 50億円 基準金利(全銀協3ヶ月日本円TIBOR)+0.25%
- シンジゲートローン平成28年2月15日 短期233億円 0.55634%(金利スワップで固定金利に)
- シンジゲートローン平成30年2月15日 長期233億円 0.73760%(金利スワップで固定金利に)
- シンジゲートローン平成32年2月15日 長期233億円 1.01950%(金利スワップで固定金利に)
- 三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行 平成34年2月15日 長期60億円 1.32075%(金利スワップで固定金利に)
REIT予想利回りと財務で、借入と出資のバランスについて見ていきましたが、プロロジスは銀行借入の返済による資金繰りを考慮した借入を行っていますね。REITは企業と同じように、お金を借りることによってレバレッジが効きますので、投資家に対してより多くの配当を行ったりお金の増えるペースが加速します。
REITの資金調達2014年 債券増加をまとめましたが、プロロジス投資法人の銀行融資よりも、金融市場から有利な金利で資金調達しているREITがありますね。REITの財務戦略は、証券市場で債券による資金調達を行って、より高金利の資金を返済していることが分かりますね。
(6)REITの設立IPOの動き
外資系企業や総合商社などの間で新たなREIT設立の動きも多く、13年もIPOが話題になりそうだ。REIT銘柄と種類で初心者には、スポンサーのしっかりした銘柄がよいものの人気化しているため配当金狙いになる点をみていきました。スポンサーのしっかりした銘柄のREITによる、IPOが増えれば、値上がり益も期待できそうですね。
新生銀行ヘルスケアREITのIPOを検討しているようですが、銀行融資の流動化が広がれば、老人ホームや高齢者向け施設などの資金調達が用意になりそうですね。日本は少子高齢化が進んでいますので、ヘルスケアREITによる資金調達が進めば、民間の高齢者向け施設は増加しやすくなり増す。
日本初の旅館REITとして、星野リゾートREITのIPO予定日を発表しており、非上場企業がREITを通じて、売上高に近い規模の資金調達をする事例としても注目を集めそうですね。高額の不動産が必要になるビジネスモデルは、資金繰りや景気変動の影響が大きくなりますが、REITによって資金調達を行うことで景気変動に対応しやすくなると言えますね。