(1)銀行の国債売却と不動産市況への影響
日銀の金融緩和により、銀行の預金運用方針が国債保有から変化しています。地方銀行は、不動産ファンドやREITでの運用を示唆しており、不動産市況に影響がありそうです。不動産市況への影響で気になるのは、住宅では消費税増税であると思いますが、政府の減税措置や消費税増税の経過措置で限定的な影響になることを、2013年4月18日の日経新聞18面が報じているので見てみましょう。
(2)消費税増税と資材特需が住宅値上がりに影響
消費増税を控えた住宅駆け込み需要による資材の特需に頭打ち感がでている。鋼材などの製造企業はマンションの駆け込み需要を足がかりに市況改善をうかがってきた。ただ住宅ローン減税の拡充もあり、建設会社や開発業者の反応は冷静だ。消費税増税による住宅の影響は、増税前の需要増加を狙って販売戸数増加を目的として発注を増やせば、人件費や資材価格の高騰に繋がります。
- 消費税増税前 5000万円の不動産 消費税率5% 消費税250万円
- 消費税増税後 5000万円の不動産 消費税率8% 消費税400万円
(3)高層マンションの販売と消費税増税
銀座へアクセスもよい人気のエリア、東京都江東区。43階建ての高層マンションの建設が進行中だ。三井不動産レジデンシャルが手掛ける「パークタワー東雲」で、2014年3月から入居が始まる。その翌月には、消費税が5%から8%へ引き上げられる。高層マンションで好立地の住宅は人気がありますが、三井不動産レジデンシャルの物件は、入居直後に消費税増税が行われる物件のようですね。
三井不動産は日本を代表する株式上場している不動産会社であり、REITのスポンサーとしても有名です。三井不動産が消費税増税に対して、住宅をどのように販売しているのか見てみましょう。
(4)三井不動産は消費税増税前に売り込まない
マンションを消費税5%で購入するためには、今年度中の引き渡しが原則となる。だが、マンションのモデルルームの販売員は、来場者に「増税前に買っといた方がいい」と売り込まない。「駆け込み需要がそんなにあるとは考えていない」(三井不動産)という。三井不動産は、消費税増税前に住宅を無理に売り込まないようですが、その理由を見ると、政府の政策により駆け込み需要を抑える政策があるようですね。
(5)住宅ローン減税と消費税増税の経過措置
政府は住宅ローン減税の拡充や、一定条件を満たせば増税後も5%で買える経過措置など市況乱高下を抑制する策を打つ。消費税増税が住宅に影響を与えるのは、消費税を増税する前に住宅を購入する方が、割安感があればですが、緩和するための政策を行っているようですね。地価上昇率ランキングを見ると、不動産価格の値上がりは、外国人富裕層の影響が大きいようですね。
(6)消費税増税後の見通し
マンション開発会社は「増税前の購入が必ずしも得とは限らない」(三井不動産)と判断する。1997年に消費税が5%に引き上げられた際、不動産市場は特需に沸いたものの、後に冷え込んだ。大手住宅施工販売会社は「同じ経験を繰り返したくない」と話す。マンション開発会社は、消費税増税前の住宅購入が得であるとは考えていないようですね。消費税増税により資材価格値上がりの可能性がありますが、不動産市況や復興需要、減税や消費税の増税経過措置により、駆け込み需要は限定的になるのかもしれないですね。新築マンション相場値上がり理由に続く。 スポンサードリンク