(1)大手不動産会社のビジネスモデルと特徴
REITと不動産株は、どちらも証券市場で売買が可能であり、不動産の抱えるデメリットを解消していると言えます。REITと株の比較について、井出保夫の『入門の金融 REITのしくみ』がまとめているので見てみましょう。
三井不動産や三菱地所に代表されるように、日本の不動産会社は開発や販売業を手掛ける分だけビジネスリスクが高く、とても安定した投資対象とはいえませんでした。REITのメリットは、不動産の保有と比較すると証券市場で、いつでも売却できることです。REITと不動産株の保有について考えると、どちらも証券市場で売却可能ですがリスクが異なります。
大手不動産会社のビジネスモデルの特徴は、土地の取得から開発を行ったり、不動産の販売を行うことで高い収益をあげることですが、大型の開発物件は1000億円を超える投資になります。
(2)REITと不動産会社の違い
一方でREITは、開発や販売といったリスクの高い事業は原則として手掛けず、不動産ポートフォリオの管理・運営が主業務ですから、これら総合デベロッパーにありがちな事業リスクを負うことはありません。したがって、収入のほとんどが賃貸収入によるもので、その分だけREITは、安定したキャッシュフローを投資家に分配することが可能なのです。REITと不動産株を比較すると、REITは比較的リスクの高い事業を手掛けない一方で、賃貸収入や不動産の売却収入を原資として、安定した配当金を支払う点が異なります。
REITと株の比較を行っていますが、REITは証券市場に上場していますので、価格が値上がりしすぎると配当利回りは低下することになります。
(3)REITと大手不動産会社の開発利益と成長性
その反面、REITは、開発事業によって得られる利益、いわゆる開発利益を得ることは期待できません。総合デベロッパーは、開発利益が期待できる分だけ、キャッシュフローの成長性はREITよりも高いと考えられています。REITと不動産株の比較により購入を検討するならば、開発事業による利益を期待するのかしないのかが、選択肢の一つであることが分かります。
日銀の金融緩和について、リート日銀買い入れが含まれていますが、REIT購入日を日銀発表しており定期的に購入していることが分かります。日銀は不動産株は購入していませんが、金融緩和による不動産の上昇期待やREIT購入による下支え効果で、不動産株は大きく値上がりしています。
(4)REITのメリットとリスク限定
投資家の中には、三井不動産のビジネススキルには魅力を感じるが、開発リスクをはじめとする事業リスクはとりたくないという人もいるでしょう。そうした保守的な投資化には、三井不動産が保有するビルだけを切り離してプールし、そのポートフォリオのマネジメントを三井不動産、およびそのグループに委託するというスキームが打ってつけです。REITオフィス型の銘柄に、三井不動産や三菱地所といった、財閥系の大手不動産会社がスポンサーとなっており銘柄があります。不動産銘柄に関心のある投資家は、REITと株のメリットを比較して、投資資金を運用するのがいいですね。REITのデメリットとメリットの比較は、REITと不動産株のどちらに投資するのか、投資運用を考えると重要になりそうですね。 スポンサードリンク