(1)金融緩和と不動産への影響
日銀の金融緩和や為替レートの円安ドル高により、不動産市場によい影響がでています。日銀の金融緩和はリートやETFの買い入れが含まれており、不動産価格や株式市場の下支え効果があります。不動産市場への資金流入は、日銀の金融緩和によって、優良企業が内部留保を生かして設備投資を行っていることを、2013年4月26日の日経新聞が報じています。
(2)企業の不動産取引が増加した理由
企業の不動産取引が活発になってきた。今年1~3月の土地や建物などの取得額は、2008年の金融危機前の水準を回復した。低金利で資金を調達しやすくなった企業が、事業拡大に備え物流拠点やオフィスなどの先行投資に動いている。設備投資などを通じ、景気回復を後押ししそうだ。企業が内部留保を溜め込み、設備投資などに回さないことの指摘がありましたが、本業を強化する事が目的の不動産取引が拡大しています。
不動産取引増加の理由は、日銀の金融緩和により銀行融資や社債の調達金利が、低下したからですね。
(3)大企業の不動産購入と本業の強化
オフィス用品通販最大手のアスクルは埼玉県の物流施設の土地・建物を152億円で取得することを決めた。「当日配送できる商品を増やすなど事業拡大に備える」。
良品計画も出店拡大をにらみ、同県に土地・建物を合わせ139億円を投じて物流拠点を建設する。
三井倉庫は本社などが賃借していた都内の複合施設を141億円で取得。「テナント収入も期待でき、現金収支の改善が見込める」という。大企業が不動産取引を増加しているようですが、本業の強化が目的であり、バブル景気のときのような値上がりを目的としたものとは違うことが分かります。
(4)上場企業やREITの不動産取引が増加
100億円を超す大型取引が相次いだことで、みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所によると1~3月期に上場企業や上場不動産投資信託(REIT)による発表などがあった不動産取引額は1兆3781億円にのぼった。上場企業やREITが発表している不動産取引は大きく増加しており、企業の内部留保が不動産市場に流入していることが分かります。
(5)不動産取引が金融危機前の水準に増加
1兆円を超えは、米金融大手リーマン・ブラザーズが破綻して金融市場が混乱する前の08年1~3月期以来だ。不動産取引も「危機モード」から脱してきたといえる。金融危機によりREIT倒産と格付けの低下により、ニューシティ・レジデンスが倒産するなど、不動産取引に対する銀行融資などの資金調達環境は悪化していました。日銀の金融緩和により、不動産取引が増加していることが裏付けられていますね。日本の不動産投資 REITと企業動向に続く。 スポンサードリンク