日本の不動産投資 REITと企業動向

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日本の不動産投資を見ると、REITや不動産会社による賃貸収入を目的とした不動産投資だけでなく、本業強化を目的とした不動産投資が企業動向から分かります。

(1)REITによる不動産取得

前回、不動産取引増加の理由と金融緩和について見ていきましたが、企業の不動産投資動向について、2013年4月26日の日経新聞が報じているので見てみましょう。REITとや企業が取得した1~3月に発表のあった不動産物件取得の例を見てみましょう。
  1. 日本プロロジスリート 千葉・市川の物流施設 339億円
  2. ユナイテッド・アーバン 東京・武蔵野商業施設(ヨドバシカメラ店舗) 280億円
  3. 日本プロロジスリート 神奈川・座間の物流施設 279億円
  4. フロンティア不動産 東京・豊島の商業施設(池袋スクエア) 204億円
REITの不動産取得を見ると、オフィスビルではなく大型の商業施設や物流施設があることを意外に思われた方がいるかもしれないですね。

(2)事業会社による不動産取得

  1. 三井不動産 東京・千代田のオフィスビル 350億円
  2. パルコ 福岡・中央の福岡パルコと隣接地 265億円
  3. 常和不動産 東京・千代田のオフィスビル 165億円
  4. アスクル 埼玉・三芳に建設中の大型物流施設 141億円
  5. 三井倉庫 東京・港のオフィスと住宅の複合施設 141億円
上場企業は、多額の内部留保を抱えていますが、事業会社による不動産取得を見ると設備投資に資金が向かい始めていることが分かります。

(3)不動産投資の理由

1月1日時点の公示地価が三大都市圏で上昇に転じる時点も相次ぐなか「賃料上昇をにらみ、一部の小売や物流会社が自社物件の取得に動いている」(都市未来総研の平山重雄執行役員)
地価上昇率ランキングを見ると、為替レートの円安ドル高により海外資金も流入していることが分かりますが、不動産価格は上昇に転じています。

不動産投資の余力がある、REITや優良企業が、不動産の賃料上昇を想定して物件取得を行っているようですね。

(4)物流施設の不動産が好調

米系不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE、東京・港)のまとめでは、今年3月末時点の首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の延べ床面積3万3千平方㍍以上の大型物流施設の空室率2.8%と、04年の調査開始以来、最低水準となった。近畿圏(大阪府、兵庫県)も1.5%と昨秋以降、2%を下回る低水準が続く。ネット通販向けなどの需要も増え、空室率は低下傾向にある。
大規模な物流施設は、大規模な土地や建物が必要となりますが、稼働率が好調に推移しているようですね。
  • 首都圏の大型物流施設の不動産空室率 2.8% 2004年の調査開始以来、最低水準
  • 近畿圏の大型物流施設の不動産空室率 1.5%
日本の不動産投資は、オフィスやマンションのイメージがある方が多いと思いますが、REIT物流型の銘柄もあります。物流施設が好調であるということは、REIT物流型の市場に対してもよい影響がありますね。

(5)オフィスビルの不動産投資も堅調

事業拡大に向けオフィスの確保も盛んだ。仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の3月末のオフィスビル空室は8.56%と3年ぶりの低水準。三井物産は「賃料収入の拡大が見込める」と鹿島グループから東京・千代田のオフィスビルの一部を買い取った
日本のオフィス不動産は、オフィスビルの空室率が低水準で推移しており、REITオフィス型の銘柄が優れた成績を残すことができるのか注目ですね。

(6)マンションの用地取得が拡大

マンション業界でも、大京が千葉・埼玉両県で分譲マンション用地の取得を拡大する方針だ。地価の先高観を受けて購入を考える人が増えており、用地を手当てして需要の増加に対応する。
新築マンション相場値上がり理由を見ると、マンションの資材調達の逼迫は一度、収まったようですが引き続き、駅に近い場所などよい物件は、購入が続きそうですね。

マンションで不安視されているのは、消費税増税 住宅の影響ですが、住宅ローン減税や消費税据え置きにより影響は限定的になりそうですね。

(7)金利低下と銀行の不動産融資

昨年以降の金利低下を受け、企業は低金利で物件取得の資金を調達しやすくなった。「銀行も不動産向け融資に積極的」(みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリスト)取引を後押しする。
日本の不動産投資を考えると、銀行融資は不可欠ですが、不動産ファンド地方銀行が高利回り運用を行っており、投資資金の運用で不動産相場の下支えを行っています。

REITや不動産会社は、不動産投資の収益性を高めるために、借入によりレバレッジを効かせていますが、銀行融資が積極的に行われると不動産への投資は加速しそうですね。

(8)建築着工の金額が急増

企業が建屋の建築や設備導入などに動けば、幅広い産業に恩恵が及ぶ。国土交通省の建築着工統計では、2月は民間の工事費の「予定額」(非居住用)が前年同月比4割増と急増した。内閣府が独自に算出する季節調整値でも前月比5割近く増え、企業が設備投資に前向きな事を示す。不動産市場が、金融緩和を景気浮揚につなげる一つのルートである。
新築マンション相場値上がり理由で、建設資材が逼迫した時期があることをまとめましたが、工事費は4割も急増していたようですね。

日本の不動産投資を見ると、投資目的のREITによる不動産投資だけでなく、本業強化を目的とした不動産投資が企業動向から分かりますね。REIT下落理由 不動産の取得競争に続く。
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