(1)日銀のREITとETFの買い入れ
日銀の金融緩和は、国債の購入増額の他に、REITとETFの買い入れがあります。REITとETFは、どちらも証券取引所に上場している金融商品で、株式のように売買可能で投資が行えます。
REITは不動産を対象とした金融商品で、スポンサー企業関連の不動産物件を扱うことが多い。ETFは対象となる指数に合わせて投資を行いますが、日銀の金融緩和は株式市場の指数に連動する、株式ETFの買い入れを行っています。
(2)REITの購入残高上限
日銀金融政策決定会合会見6月、REITとETFについて、2013年6月12日の日経新聞5面が報じているので見てみましょう。問 REITの購入残高が上限に迫っている。不動産市場のリスク低減は達成できるのか。REITとETFは、日銀が買い入れ枠を設定していますが、REIT購入日を日銀発表を見ると、日銀のREIT買い入れ余力は限定的になっています。
- 2013年5月14日時点の日銀買い入れ金額と余力
- REIT2013年末までの買い取り見通し1400億円 REIT購入枠の残り40億円
- REIT2013年末までの買い取り見通し2兆5000億円 ETF購入枠の残り8011億円
(3)REITの買い入れ金額は変更なし
答 REITの保有残高が着実に増加しているのは事実だが、今年末の見通し1400億円と発表したのは買い入れ上限ではない。引き続きREITが年間300億円に達するように買い入れは実施する。日銀はREITの買い入れ枠を、毎年増加することを発表していますが、2013年度末までの購入金額の増額は今回、発表されませんでした。日銀のREIT買い入れ枠の残高を見ると、日銀がREITを買い支える効果は、かなり限定的になる可能性が高いですね。
(4)ETFと株式市場 REITと不動産市場の違い
ただETFが株式市場全体との関係でかなり余地があるのに対し、REIT市場は不動産市場と比べて小さい。これを短期的に大きく買い入れ増やすのは難しいと思うが、REITの市場を十分注視して、弾力的に対応したい。日銀の金融政策で購入するETFは日本の株価指数に連動するETFですが、REITは個別のスポンサーが組成しているものになります。
ETFとREITは市場規模に違いがあるため、金融市場で日銀の買い入れが占める割合が高くなりすぎることを防ぐために、REITの買い入れ枠の金額が決められたことが分かりますね。
(5)REITとETFの市場規模比較
REITとETFの市場規模を比較すると、日本の金融市場は資産残高の伸び率が限定的であり、成長余地があることが分かります。日銀が金融緩和により、REITやETFの購入を行っていますが、買い入れ枠の動向に注目すると同時に、日銀がREITとETFの市場拡大を促進することができたのかは、今後、検証されそうですね。