(1)銀行融資拡大と国債売却
前回、日銀の金融緩和 銀行融資の増加を三大メガバンクに要請について見ましたが、2013年4月26日の日経新聞2面が報じているので見てみましょう。銀行も急に融資を増やせるわけではない。「銀行に無理に国債を手放させ、過剰なリスクをとらせるのは問題では」。日銀が15日に開いた支店長会議。銀行融資の拡大を、日銀は金融緩和と同時に要請していますが、無理な銀行融資の拡大は、不良債権増加の可能性があります。
日銀の金融緩和で、銀行 国債売却とREIT購入を行ったり、不動産ファンド地方銀行が高利回り運用を行う動きがでており、銀行がリスクをとり始めています
(2)銀行融資拡大で不良債権増加
地域金融の現状を知る一部の支店長からは疑問の声も上がった。経済の回復が鈍いなかで銀行が融資の拡大を急げば、将来、不良債権が膨らみかねない。銀行が融資先を拡大しようとしても、大企業は証券市場から株式や社債による資金調達が可能であるため、銀行融資の拡大は困難です。
大手優良企業は銀行融資に頼らなくても、社債による資金調達が可能であり金融緩和による低金利の恩恵を受けています。
銀行融資を拡大するとしても、地方銀行との競合が激しい中で、融資残高の伸びばかり気にすれば貸出金利を下げることで、利鞘の減少と不良債権増加のリスクはあります。
(3)銀行が国債保有のリスク
一方、銀行が大量に国債をもち続けることにも懸念がある。「長期金利上昇リスク部会」。みずほは30日、佐藤が主宰し、こんな会合を立ち上げる。銀行融資が伸びないため、銀行は運用のために大量の国債を保有していましたが、長期金利が上昇すると国債価格が下落して損失を抱えることになります。
(4)黒田総裁の日銀金融緩和の影響をどう見るか
新たな緩和策で物価上昇の見通しが強まった場合、日銀は長期金利を低く抑えきれるか。国債価格の下落を意味する金利の上昇に銀行はどう対応するのか。黒田緩和で銀行経営は厳しさを増している。日銀の金融緩和により、国債保有を行うリスクを指摘していますが、銀行 国債売却とREIT購入を行う動きがでていると日経新聞が報じており、日経新聞の言うような単純な国債保有を行う銀行ばかりではないですね。
(5)金融機関に詳しい、金融危機対応を行った人物
政府は正副総裁の候補を詰める過程で、金融機関の経営に詳しい人材の確保に苦労した。政府関係者は、「中曽が副総裁に推されたのは、1990年代の金融危機対応で最前線に立ち続けた経験が買われた」と明かす。鮮やかな金融政策の転換の裏には危うさもひそむ。日銀の金融緩和により、銀行が国債売却と融資拡大を行うことで景気拡大を行うには、金融機関に詳しい人材が不可欠です。日銀は、金融危機対応を行った人材を副総裁に配置しており、万全の体制を整えていると言えるのか気になりますね。 スポンサードリンク